タイ国際航空(Thai Airways International)は、2020年の経営破綻からの再建を進め、2025年以降の更なる成長に向けて動き出しています。最新の発表によると、2027年までに機材数を増強し、さらなる路線拡大を計画しており、これがタイ人観光客の増加につながる可能性があります。今回は、タイ国際航空の動向が訪日タイ人観光客にどのような影響を与えるかを考察します。
タイ国際航空の経営再建と成長戦略
タイ国際航空は、2024年末時点で1,879億8,900万バーツ(約8,500億円)の総収入を記録し、営業利益も400億バーツ(約1,780億円)を超えています。これは、2020年のコロナ禍で大きな損失を出した同社にとって、大きな回復の兆しです。
タイ航空の再建計画
・2025年6月にタイ証券取引所への再上場
・機材を現在の79機から2027年までに100機以上に増加
※コロナ禍前の2019年の保有台数は103機
・日本、ヨーロッパ、インド路線の強化
・運航効率向上によるコスト削減
などが含まれており、より多くのフライトを提供できる環境が整いつつあります。

2025年2月25日に開かれた取締役会によると、2025年第2四半期末から、エアバスA330が7機、エアバスA321を1機、エアバスA330-300が1機ずつ、合計9機が納入される予定です。
2025年末までに航空機数は87機となり、今年は2024年より2%以上多くの乗客を運ぶことができるようになります。
2025年の総乗客数は2024年から50万人増えた1,650万人と予想されています。
訪日タイ人観光客の増加につながるのか?
1. タイ人旅行需要の回復
タイでは、経済回復とともに海外旅行需要が高まっており、2023年の訪日タイ人観光客数は約100万人を突破しました。日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2024年にはさらに増加すると予測されています。
2. 日本路線の増便
現在、タイ国際航空は以下の日本路線を運航しています。
- 東京(成田・羽田)
- 大阪(関西)
- 名古屋(中部)
- 福岡
- 札幌(新千歳)(季節運航)
しかし、2019年には仙台への直行便もありました。機材増強により、新たな地方都市への直行便が復活する可能性があり、地方観光地へのタイ人観光客の誘致が期待されます。
3. 航空券価格の安定化と利便性向上
コロナ禍以降、航空券の価格は高騰していましたが、機材増強による供給増加で価格が安定する可能性があります。また、ANAとのコードシェアを活用し、地方都市へのアクセスが向上することで、タイ人観光客の利便性が向上します。

インバウンドマーケティングのチャンス
株式会社オーエイチとしては、タイ人観光客の増加を見越し、以下のような施策を提案できます。
・地方都市へのPR強化
訪日タイ人はリピータが約70%です。東京や大阪だけでなく、長野、草津、東北地方などの新規訪問地を訴求。
・タイ向けのプロモーション
Pantip、現地博覧会、SNSやインフルエンサーを活用し、タイ語の情報発信を強化。
今後の動向を注視しながら、訪日タイ人観光客のさらなる増加に向けたマーケティング戦略を打ち出していきましょう。
記 株式会社オーエイチ 髙橋英知