

タイでのLINEの立ち位置
タイは、世界でも有数のLINE利用率の高い国です。
日本では当たり前のように使われているLINEですが、タイでは日本以上に国民的アプリとして広く定着しています。
日本では企業やホテル、商店などへの音声連絡は電話が一般的ですが、タイではLINE通話を使うことも一般的です。 その為、多くの企業や商店はLINE公式アカウントを開設して、このLINE公式アカウントを公開し、ユーザーとのコミュニケーションに活用しています。
2023年時点で、タイ国内のLINE月間アクティブユーザー数は5,000万人超(人口の約70%以上)とされており、メッセンジャーアプリというよりも生活インフラの一部として機能しています。
特に都市部では、LINEを通じて連絡を取り合うだけでなく、ニュースチェック、フードデリバリー、買い物、支払い、行政手続きまで幅広く活用されています。
タイ人LINEユーザーの特徴と使い方
タイのLINEユーザーには以下のような特徴があります:
- 年齢層が幅広い:学生から高齢者まで幅広く利用
- スタンプ文化が根付いている:日本と同様、感情表現豊かなスタンプが大人気
- 公式アカウントのフォローに積極的:企業やブランドのLINE公式アカウントをフォローし、クーポンや新商品情報を得る
- 企業や商店への連絡もLINE通話を利用:LINE公式アカウントでメッセージや通話でのコミュニケーションも一般的
- LINE VOOM(旧タイムライン)も利用:日常の共有やインフルエンサーのフォローに活用されているものの、InstagramやFacebookのリールに押され気味です。
- 学校や行政からの情報発信:学校や行政からの連絡がLINEで行われることが一般的で、保護者や住民にとって身近な情報ツールとなっています。
タイのLINEと日本のLINEの互換性
日本のLINEも、タイのLINEも基本的には同じで、互換性があります。
インターネットさえあれば、お互いお友だち登録でメッセージや音声通話が可能になります。
日本とタイの間での国際音声通話でも通話料金は発生しません。
その為、日本からタイへの音声通話、タイから日本への音声通話はLINEを使うことが一般的です。
そこで、企業や団体はLINE公式アカウントがある事が望まれます。

企業・ブランドによる活用事例
1. セブンイレブン(CP All社)
タイのセブンイレブンは、LINEミニアプリを活用してポイントカード機能(ALL Member)やモバイル決済を提供。利用者はLINE内でクーポン取得、ポイント確認、キャンペーン応募ができます。


上の画像は、タイのセブンイレブンのLINE公式アカウントの画面です。
リッチメニューには複数の項目が表示されており、
その中の一つが「ALL Member」(タイ語では「บาร์โค้ดของฉัน」と表記)です。
このボタンをタップするだけで、ALL Memberの画面に自動的にリンクされるため、操作が非常に簡単で便利です。
ALL Memberとは、セブンイレブンの会員向けポイントプログラムで、LINEミニアプリとして提供されています。
会員登録をすれば、買い物時にLINE上でバーコードを提示するだけでポイントが貯まり、クーポンやキャンペーン情報も即座に確認可能です。また、会員限定の特典も多く、LINE内でポイントの履歴や残高の確認、最新のキャンペーン応募まで完結します。アプリを別途ダウンロードする必要がないため、利用のハードルが低く、多くの消費者が日常的に活用しています。
2. タイ国政府観光庁(TAT)
TATは外国人観光客向けのLINE公式アカウントを開設し、日本語・英語での観光情報発信やキャンペーン告知を実施。LINEチャットボットによるQ&A対応も取り入れられています。
3. ローカルビジネス(飲食店・美容院など)
中小規模の店舗でも、予約受付、メニュー表示、ポイント付与、チャット対応などをLINE公式アカウントで完結。特に予約時の利便性向上とリピーター獲得に寄与しています。


バンコク市内の美容室やカフェでは、「LINEで予約受付中」と書かれたサインやQRコードが必ずと言っていいほど掲示されています。リッチメニューに「メニューを見る」「空き状況を確認」「プロモを見る」などが並び、予約からリピーター対応までがLINEで完結。高齢層の利用も珍しくなく、デジタルに不慣れな人にも広く受け入れられています。
4.個人ショップ (買い物)
LINE SHOPPINGは、ECサイトにアクセスしなくてもチャット感覚で商品を選び、LINE上で購入・決済まで完了できる仕組みです。特にスモールビジネスや個人ショップの販路として人気で、「LINE限定セール」や「チャットで値段交渉」なども見られ、ローカル感のある買い物体験が特徴です。

タイのローカルアパレルショップが運用するLINE公式アカウントのリッチメニュー
LINEミニアプリやLINE公式アカウントの可能性
タイでは、LINEが単なるメッセージアプリにとどまらず、生活インフラのように多機能化しており、「LINEでできないことはない」とまで言われています。LINEを活用すれば、情報発信、ユーザーとのチャット対応、予約受付、会員管理、キャンペーン展開、支払いまで、あらゆるサービスを一つのアプリ内で完結できます。
こうした機能を支えるのが、「LINE公式アカウント」と「LINEミニアプリ」です。
- LINE公式アカウント:
企業や店舗が顧客とつながるためのアカウントで、情報発信、チャット、リッチメニューなどを通じてコミュニケーションを取るのに適しています。ユーザーとの継続的な接点を保ち、販促や問い合わせ対応などに活用されます。 - LINEミニアプリ:
LINE上で動作する小さなWebアプリのようなもので、会員登録やポイント付与、予約、支払いなどの機能をよりインタラクティブに提供できます。アプリのダウンロード不要で手軽に利用でき、ユーザーの利便性が非常に高いです。
両者を組み合わせることで、マーケティング施策、顧客関係管理(CRM)、オンラインとオフラインを連携させたOMO(Online Merges with Offline)戦略が強力に推進できます。
タイ市場進出を目指す日本企業への提案
タイ市場でのマーケティングを検討するなら、まずLINEを攻略することが鍵です。たとえば:
- LINE広告によるターゲティングプロモーション
- LINE公式アカウントによる継続的なタイ語での情報発信とチャット対応は、ユーザーとの信頼関係構築に大きく寄与しています。
- LINEミニアプリを活用した会員管理やクーポン配信
などが有効です。特に、訪日タイ人のリピーター獲得や越境ECの導線づくりにもLINEは欠かせません。
記 ピムピラ イラディ
株式会社オーエイチ
タイ人集客サポート担当